2026年3月31日提出の有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場動向の変動
当社グループの主力事業である半導体検査装置事業は、新しく2025年度から投入するウエーハ特性検査やIT方面で使用されるイメージセンサー、ディスプレイ(アレイ)、ディスプレイドライバIC等、ウエーハ上のチップを直接検査する装置の設計開発、製造に特化した事業戦略をとっておりますが、当該事業はデジタル家電や携帯電話、パソコンといった情報端末関連市場の動向に左右されやすい面もあります。
これらの機器市場、及び検査対象となるデバイス市場は、世界的な感染症の発生や、半導体業界における一時的な在庫調整並びに、デジタル家電製品のトレンドに左右されるシリコンサイクルの影響を受けやすい特性を有します。
当社グループは各分野の装置において、独自技術を活かした先端・ハイエンドデバイス検査に重きを置きつつ、2025年からAIサーバー市場への参入するなど、ニッチ市場を開拓することにより、これらの影響を受けにくい体制作りを推し進めております。
なお、これらの機器市場、デバイス市場は、IT技術の進化とともに普及が進むモバイル・リビング端末を中心とした基幹産業として、5Gなどの通信の高速化技術の進展に伴い当面は拡大基調を継続すると思われますが、世界的な感染症の発生や、複数の消費国における天変地異、或いは金融関連の予想外の市場収縮時には当社装置の売上が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合の状況(当社グループの主要製品である検査装置に関して)
イメージセンサー関連では、強力な国内外競合メーカーが3社程度存在すると考えております。また簡易検査装置も台頭してきており顧客によっては簡易検査に移行が進む可能性もあります。当社グループでは、競合他社あるいは能力が足りない簡易検査装置と比較して、よりコストパフォーマンスが高い装置の供給に独自のノウハウを保有していると考えておりますが、今後は被測定ICの高速駆動と検査スピードの低減を進めるとともに従来の17Gbpsから40Gbpsとなる検査データの高速転送と機能強化を行うなど更なる高コストパフォーマンスを実現し、競合他社との差別化を図る必要があります。また同時にTOF検査(距離センサー用特殊光源)を可能とする専用光源の開発に着手しており、当社検査装置の性能を100%引き出せる専用光源WLSシリーズと共にお客様に提供する計画です。
ディスプレイのアレイ検査分野では、検査ニーズが抜き取り検査に限定されるなど、ごくわずかではありますが、当社の技術の維持を目的に新技術の研究継続と販売は続けるべきであると考えており、本分野における検査技術の特許維持は続けてまいります。また、今後は他の競合企業がより優れた技術を持って当該分野へ参入する可能性もあるものと考えておりますが、サービス体制の見直しを通じた、顧客満足度向上への活動を充実させ、今後特に普及が予測される有機EL検査装置、また引き続きプロジェクターなどで多用されるLCOSデバイスや高温ポリシリコン型デバイスの検査技術については顧客とともに新たな検査技術開発を継続します。
ディスプレイドライバIC関連では国内外競合メーカーが3社ないし4社程存在すると考えております。当社グループは製品のコストパフォーマンスで優位性を保ちつつ、今後の4Kそして8K画像に対応する高度化が見込まれるデバイス性能に適応してゆくためのデータの高速転送技術や、駆動周波数の高速化、そして高速データ処理技術等、検査機能拡張と検査の高速化オプションを継続開発し市場投入することで、顧客ニーズに応え続けるとともに他社との差別化を図ります。加えて、開発が終了した次世代検査装置は、筐体及びインターフェース、制御ソフトウェアを当社で今後開発する他の用途の検査装置と共通化(マルチプラットフォーム)することで、新しく進める別機種の開発期間の短縮につなげ、開発資源の有効活用の最大化を実現できることとなります。共通のハードウエア環境を構築することで当社顧客、特にテストハウスにとって、一度購入した装置に新たに必要となる機能ボードを入れ替えることで、別の検査ニーズに対応できることが可能となることを意味します。従って顧客視点で見れば、導入リスクや検査コストの低減につなげることができるため、利益の最大化が可能となり、ひいては当社の売上に繋がり、ベンチマークなどの販売に係るコストを低減できることで、利益の確保そして企業価値の増大に大きく結びつくものと考えております。
今後、検査装置事業は全般に競争が激しくなることが予想されますが、当社グループとしては、台湾並びに中国をメインマーケットと捉え、ウインテスト武漢、また関係会社である中国PMI社との関係強化に加え台湾のVICCOM社の協力を得ながら、途切れることのない、製品のベンチマークを中心とした営業活動を推進、積極的にお客様との関係の深耕を進めるとともに、既存ユーザーに対する製品のカスタマイズ・サポートを行うことで一層緊密な取引関係を構築、マーケットシェアの拡大を目指す方針であります。
しかしながら、競合他社がさらに経営資源を投入した場合、あるいは国内外で新たな企業の参入があった場合には、当社グループの市場競争力及びマーケットシェアに影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術革新
当社グループは、イメージセンサー、液晶ディスプレイ(アレイ)、LCD/有機ELドライバIC検査装置の販売並びに技術サポートを行っておりますが、これらデバイスの製造過程、あるいは検査手法に将来、予想もされないような劇的な技術革新が生じ、当社グループがこれに対応できない場合、現製品の需要減少などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)特定の販売先への依存について
当社グループは2023年9月より中国における営業戦略を見直し、今まで代理店営業に頼っていた体制から直接営業を中心とした営業体制への変更を実施し、第4四半期から翌期に向けて営業活動を進めております。日本における販売はウインテスト株式会社を窓口とし、主たる市場と考える中国・台湾向けの販売は中国の当社子会社であるウインテスト武漢を窓口とし、営業機能強化とリスクの分散を進めております。
当社グループの日本国向けの販売と中国・台湾向けの販売の比率は、当連結会計年度にて凡そ4:6となっており、未来において政治的に大きな変化が発生したような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)運転資金負担
当社グループの事業に関しては、検査装置の受注、部材購入から納品、検収までに約半年から約1年の期間がかかる場合があります。また、その売上高は大規模なシステムになると、数千万円から1億円程になり、それらの支払方法の多くは、ファクタリングや国際手形LCなどであります。一方、仕入先及び外注先に対する買掛金の支払いは、検収後約1か月後となっております。
このような事業特性上、当社グループには絶えず運転資金負担が発生し、大量の受注が集中した場合には、相当額の運転資金負担が予測されます。
(6)仕入先、外注先との関係について
当社グループと、仕入先、外注先との関係は良好でありますが、取引先の信用リスクを含む何らかの理由で現仕入先、外注先との関係を維持できなくなった場合は、代替委託先の選定及び技術指導にある程度の時間を要し、出荷スケジュールに遅れが発生する可能性があります。また、業容を拡大していく上で安定的な外注先の確保ができない場合には、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
(7)M&Aに関するリスク
当社グループは、成長戦略のひとつとして、今後、市場拡大が見込まれる汎用ロジック検査分野、メモリーデバイス検査分野、それらに加えて、中長期目標としてパワーデバイス検査装置分野への参入を目的に、当該分野におけるM&Aによる企業価値の向上を計画してまいります。
M&Aの実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な調査及び検討を行っておりますが、買収後における事業環境の変化や想定外の事態の発生等により、買収事業が当初の目標どおりに推移せず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を改善するための対応策等
当社グループは、前連結会計年度において、前々年度から続いている半導体のダブつきと民生半導体の需要減による工場稼働率の低迷が長引いたことの影響を受け、売上・受注時期がずれ込み、売上高は417,090千円となりました。また、資産の健全性を確保するために棚卸資産の評価損を計上したことに伴い、売上原価が増加し、営業損失1,083,829千円、経常損失は1,094,080千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,105,888千円を計上いたしました。また、営業キャッシュ・フローは、662,304千円のマイナスとなりました。
当連結会計年度(2025年1月~12月)における世界半導体市場は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics/世界半導体市場統計:2025年12月2日)の発表によると、前年比+22.5%増の7,722億4,300万米ドル(約120兆円)になるとの見通しでした。主に、予想をはるかに超える生成AI需要急騰によるものであり、これに伴ってHBM(AIで使われるメモリー製品)やAIで使用されるGPUなどの複合ロジック製品半導体が市場の牽引役となりました。一方、AI関連を除くと、2024年に続き2025年は、各半導体関連企業がAIに注力したことにより、AI関連以外の領域の自動車向け、民生用及び産業向け半導体の製造リソースが低下し、民生・産業向け半導体チップ不足が発生、自動車納期の長期化、パソコンやスマートフォンなど民生向け製品の価格上昇に繋がるなど、「用途による二極化」が更に顕著となり、AI向け半導体関連投資伸長の裏で、民生・産業用向け半導体製造設備投資は、前年比マイナス成長となりました。
また、日本における半導体市場は、AI向け半導体を製造している企業が少なく、他国が2桁成長する中で日本だけマイナス成長(8.9%の落込み)を見せ、世界全体に占めるシェアは、2024年までの7%前後から5%台にまで下落しています(参考:米国半導体工業会2025年10月9日)。
当社グループが属する民生・産業分野向け半導体市場の2025年度は、WSTSやSEMIなどの市場予測では、昨年より低迷が続いている民生・産業分野も回復、再生可能エネルギーの電源や電気自動車(EV)のほか、自動運転に使う半導体の需要も大きく増加する、と予測されていましたが、振り返ると予測を大きく裏切る結果となりました。
また、富士キメラ総研の「2025ディスプレイ関連市場まとめ」によると、2025年は、中国におけるエコ家電買い替え補助金の縮小・終了や米国の輸入関税によるマイナス影響などで、世界的に市場は縮小したとのことです。前述したAI偏重は、世界的な傾向で有り、当社がメイン市場とする中国・台湾半導体企業も大きな影響を受けており、当社が得意とする民生機器向け半導体の一つであるDDIC(ディスプレイ・ドライバーIC)製造工場の設備投資凍結の影響が続いており、当社グループの2025年度の受注、売上は低調に推移いたしました。
2026年以降は、ノートPCやタブレット、車載CIDなどでの採用増加を背景にAMOLEDの伸長が予想されるほか、フォルダブルスマートフォンの普及が進むRGB蒸着フォルダブルOLED(有機EL)、スマートグラスや車載HUDで使用が期待されるLCOS(反射型液晶パネル)、スマートグラスやスマートウォッチ、TV向けで採用の増加が予想されるマイクロLEDなども伸びるとみられ、2030年の市場は2024年比6.7%増の19兆4,622億円を予測しています。今後も、多くの用途で中国パネルメーカーが台頭し、平均単価は下落するとみられています。
今後もウインテストグループとして、横浜本社/大阪事業所における開発環境整備、人材育成に努め、組織の若返りを含めた強化を行い、総務経理部を含む各部署における業務推進体制を革新するため、ERPやITを駆使した、より機動的かつ最新の環境で、設計、開発及び経営能力を強化するとともに、トータルコストの削減、納期の短縮と品質の向上を目指し、顧客満足度を上げることで受注増、業績の向上、企業価値の増大を図り、株主様の利益につなげてまいります。
以上のように依然として2025年は、AI関連投資偏重傾向が顕著となり、当社業績に大きな影響が及び、その結果各社顧客工場における新規設備投資の抑制が引続き、当社業績は低調に推移いたしました。
また、当社グループは、2026年度に向け黒字化を推進することを前提に、当社グループが保有する棚卸資産について厳格な評価を実施し、特に子会社を中心として連結で599,920千円の棚卸資産評価損(売上原価)を計上いたしました。前述のとおりでありますが、業界全体において市場環境が変化しており、特に受注の伸び悩みが見られる状況が続いています。当社におきましても、一部製品の市場動向を慎重に精査した結果、保有する棚卸資産の一部について、将来的な回収可能性について精度を高めて評価する必要があると判断しました。これに伴い、監査法人とも協議のうえ、適正な会計処理を行うために積極的な棚卸資産の評価損を計上することといたしました。
これは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)に従い資産評価の健全性を確保するために実施するものであります。今回の評価損計上により、短期的な財務指標には影響が出るものの、これは将来的な財務の健全性を確保し、持続的な成長基盤を強化するための戦略的な判断であります。当社は今後も、事業構造の見直しや市場ニーズに適した製品戦略を推進し、収益性の向上を図る施策を進めてまいります。また、当該棚卸資産に関しましては、2026年以降受注し出荷される製品にすべて組み込む予定でありますので、売上金額に占める原価率の低減に大きく寄与してまいります。
以上より、当社の当連結会計年度の売上高は429,053千円となり、営業損失は1,218,662千円、経常損失は1,217,996千円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,242,428千円となりました。また、営業キャッシュ・フローは、751,167千円のマイナスとなりました。
上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

